To the upper world

巷では、なにかと2.0で片付けようという風潮だけど、広告使って消費者(最近は生活者っていうのかな)の心をつかむのはやっぱりクリエイティブがなくちゃ始まらない、と思いつつ・・・

Thursday, November 02, 2006

タマゴの広告


と言っても、スーパーのチラシにのってる、タイムセールのタマゴ広告じゃないです。
タマゴそのものを広告スペースにするって言うお話。

まずは、EggFussion社
タマゴの殻にレーザープリントでメッセージを印字して広告スペースにするパターン。
すでにCBSテレビが3500万個のタマゴを使って、コメディ番組のキャンペーンで使ったみたい。
(このあたりの話題は、9月4日売りの日経MJに詳しいです)

次は、イギリスのBritish Lion Quality eggs社
ゆでるとメッセージが浮き出る特殊インクを使用。いわゆるあぶり出しの技術ね。
でもこれって、ゆでタマゴの需要が多い国でしか、広告として成り立たないのでは・・・ 目玉焼きとかスクランブルエッグではメッセージは浮き出てこないからね。

でも、ゆでタマゴの需要の多い国・・・ って、どこ? イギリスかなぁ?

ちなみに、日本人のタマゴ消費量は年間329個で世界第2位(1位はイスラエル、意外!)だそうで、このタマゴ広告も最初にやったスポンサーは話題になるんじゃないかな。

最近はあらゆるものが広告媒体となり、街中に氾濫する企業メッセージに対し“広告クラッター”なる言葉も出てきたが、このタマゴ広告のようにクリエーターの遊び心をくすぐるような広告スペースだったら、クラッターの中から消費者の強いAttetionを引き出せるかもね。

さてさて、食品を使った広告スペース。タマゴの次は???
1年中食べられるようになったトマトとか、またはドールあたりがバナナの皮に広告を?

うーーーん、でも究極の広告スペースは、お札かな?
イケイケドンドンの竹中さんが辞めちゃった日本では当然無理っぽいから、南太平洋の島国とか、アフリカのちっちゃい王国とか・・・ 少々ソデの下を通せばなんとかいけるかな???
お札の真ん中に印刷されている王様のネックレスがエルメス製とか・・・(広告って言うより、プロダクトプレイスメント? 笑)
いかがでしょう?

Saturday, October 21, 2006

CMディレクター杉山登志


8月28日の「テレビCMの日」に放映された資生堂提供の2時間スペシャルドラマ『メッセージ〜伝説のCMディレクター杉山登志』について。

番組の中で2度だけ流された資生堂の企業広告「新しい私になって」篇が話題になってますね。

「♪本日わたしはふられました〜、わかっていました無理めだと〜」という歌詞で始まるシンプルな曲に、問い合わせが殺到しているんだって。

歌ってるのは熊木杏里(キングレコード所属)っていうシンガー・ソングライター、そしてこの独特の歌詞を書いたのは東北新社取締役でCMディレクターでもある中島信也氏(もちろんこのCMのディレクターです)。

あまりの反響にCD化されるみたい。(2006年11月22日発売予定)
熊木杏里個人サイト:http://www.kumakianri.com/

そして資生堂も、このドラマだけのために作られたこの企業広告を、再びオンエアするそうで。(もう流れてるのかなぁ?)

さて、話はドラマに戻って。
CMディレクターの杉山登志氏・・・(実を言うと知らなかった)

なぜ伝説と言われているか?

カンヌなど数々の広告賞を受賞し、名声を欲しいままにしていた昭和48年12月に、自宅で首をつって自殺してしまったんですね。
まだまだ、多くの作品を残すことができただろう37歳という年齢で・・・

そして、彼の残した遺書がこれまた伝説に輪をかけている。

  リッチでないのに
  リッチな世界などわかりません

  ハッピーでないのに
  ハッピーな世界などえがけません

  「夢」がないのに
  「夢」をうることなどは……とても

  嘘をついてもばれるものです


考えさせられるなぁ・・・

そんな杉山登志氏の作ったCMをまとめて見てみたくネットを色々探したのですが、見つけられなかった。
作品の後半はほとんど資生堂のCMだったみたいなので、資生堂のページも探したんだけど・・・

ただ、その資生堂のサイトで、初代社長である福原信三の、とある言葉が目に止まった。

「ものごとはすべてリッチでなければならない」

欧米留学の体験をもとに、資生堂に意匠部というクリエイティブなセクションを設立した福原は、資生堂のデザインポリシーを「リッチ」というキーワードにして資生堂のスタイルを確立していったんですね。

杉山登志氏の遺書にある「リッチでないのに リッチな世界などわかりません」という一文を深く考えてしまうのは自分だけでしょうか・・・ 深く考えすぎかなぁ・・・

杉山登志氏とその時代のCM制作の様子は、元電通のクリエイティブディレクターである小田桐昭氏が語っている以下のサイトに詳しい。

ACCtion! Vol.102:私のCM史、そして…出会った方々

昔はパロディCMなんか作ったり、結構自由にやってたんですねぇ。

うーーーん、ますます杉山登志氏の作品を見てみたくなった。
どっかで見られないものなのでしょうか? アドミュージアムにでも行ってみようかなぁ・・・

Tuesday, October 17, 2006

Sony BRAVIA New TVCM On Air


先日書いた、BRAVIAの新しいTVCMがSonyのサイトで公開されました。

パロディが作られた前『Balls』だったが、これのパロディを作るのは大変そうだな・・・

Monday, October 16, 2006

14th Raindance Film Festival


CMディレクター関根光才が作ったフェスティバル用のオープニングフィルム『Daughter』。

うーーーん、何度も見てしまいます。

女の子のバックに映ってる建物は、東京の板橋区にある都営西台アパート
大学の頃、この近くのつけ麺屋に良く行ってました。懐かしいなぁ、まだあるかな?

でも東京なのに、なぜこの女の子は関西弁?
お父さんの転勤で、関東に引っ越してきたんでしょうか・・・

8mmが主流だった頃の時代背景を考えれば、西台アパートなど日本の高度成長期時代に建てられた、いわゆる“団地”は、今で言う六本木ヒルズみたいなもんでしょうか。
きっとこのお父さんはエリートサラリーマンなんでしょう。8mmカメラもウチの親父が持ってたヤツより高級そうだし。。。
(昔の“団地族”って、今で言う“ヒルズ族”みたいなイメージで使われてたのかなぁ・・・ 違う?)

で、このクネクネ踊っている女の子、ちょっと調べてみると、カンニング竹山が出てるTXの「竹山先生?」のオープニングで踊ってる女の子なんですね。
芸名はストロングマシン2号・・・(なんじゃそれ?) ホントに小学生でした。ダンス業界じゃ、結構有名な女の子みたいですね。
ちなみに彼女のお父さんは、ストロングマシン1号! 2号と一緒にダンスフェスティバルなどに出てるとか。(このお父さん、本職は寺の住職!

このフィルムを見て、ストロングマシン2号をTVCMに使いたいって言うスポンサーもいるんじゃないでしょうか・・・

さて、若くして世界に認められた関根ディレクター、HATというCM制作会社に所属なんですね。広告批評の記事によると、CMはあまり好きではないそうです。なんでも映画とか映像系の仕事がしたくてこの業界に入ったとか。

彼のディレクター初作品『RIGHT PLACE(QT/WindowsMediaはこちら)』も秀逸です。

いいなぁ、才能のある人は・・・

Saturday, October 14, 2006

Sony BRAVIA New TVCM



Sonyの液晶テレビ「BRAVIA」の新しいTVCMが10月17日よりオンエアスタートです。

カンヌやクリオなどの広告賞でも上位入賞した『Balls(QT Movie / 180秒)』の新しいバージョン。(QTが見られない人は、YouTubeからどうぞ)

前回の『Balls』を初めて見たときは「これってCG? 影のつけ方とか最近のグラフィックコンピューターはスゲーなぁ」なんて思ってたんだけど、実際は25万個!のスーパーボール(子供の頃駄菓子屋さんで売ってたヤツね)、23台のカメラ、空気で動作するキャノン砲等々を使い、サンフランシスコの市街地での撮影でした(こっちの方がスゲー!)。
そして、今回の新バージョン『Paint(勝手に命名/CMのタイトルはまだ未発表)は、7万リットル!のペンキを使って、イギリスのグラスゴーでの撮影だそうだ。

『Balls』では、いくつかのパロディバージョン(下の方に詳細あり)が作られるほど反響があり、ネット上でもかなり盛り上がったけど、今回の『Paint』もSonyのこちらのサイトメーキングとか見ることができるよ)を中心に、BlogやらYouTubeで取り上げられ代理店として事前の広がりはまずまずの成功かな。

こういうCMを核にネットがティーザー的に広がっていく展開を見ると、最近、日本の某インタラクティブ系エージェンシーが仕掛けてる、バズマーケとかインフルエンサーとかそれっぽいキーワードを並べ、“無理矢理”やってるネットオンリーの口コミキャンペーンはどうかなぁって思うよね。

ちなみにこのTVCMシリーズを手がける代理店はイギリスのFallon。この代理店が手がけたBMWのオンラインショートフィルム(2、3年前かな?)は日本でも話題に上ったよね。Sonyの『Balls』同様、“坂”を使ったこんなTVCMも作ってます。
Travelers Insurance: Snowball
(こんなノリのプレステのゲームが昔ありましたよね、塊魂だっけ?)

さて、財務的に苦しくなってきているSony、このTVCMをきっかけにPS3の先行投資分とバッテリーの無償交換分を回収できるのかしらん・・・


<Sony BRAVIA Parody>


TANGO
イギリスの飲料メーカー「TANGO」が作ったパロディ。なんとカンヌで広告賞も受賞。(映像的にはかなりキレイ)
おまけに、紛らわしいパロディサイト「Swansea North Residents Association(スウォンジー住宅協会?)」もあって、「突然、撮影クルーがやってきて、フルーツをぶちまけて、我々の街をメチャクチャにしていった」みたいな住民のコメントや破壊された街の写真があったりと、やり放題!(笑)
しかし、このTANGOっていう会社の他のTVCMも見てみたけど、かなり衝撃的な映像ばかり。
Tango Range TVCMシリーズ:CM1CM2失敗バージョン)・CM3CM4

Doritos
おなじみドリトスが作ったBRAVIA『Balls』のパロディ。でかいチーズが坂を転げ落ちていきます。代理店は、なんとBBDO。こういうTVCMが、受け入れられる国では、きっと一般的なんだろうな。

Friday, October 06, 2006

デザインの値段


中村誠先生の話で思い出した、彼が講義で語った、東京都のシンボルマークのコンペに参加した話を。

その講義の内容は、
・東京都の要請で中村誠先生を含め10人近くのデザイナーがコンペに参加したこと
・最終的に東京都が採用したのは、イチョウの葉っぱをデザインした作品になったこと(実際はイチョウの葉っぱとTOKYOの“T”の文字)
等々・・・

このあたりまでは、ボケーっと聞いていたので記憶が一部うろ覚えなんだけど、その後、先生が語ったコンペの費用の話はハッキリ憶えている。

「採用されたデザイナーには1000万円が払われた」

あの頃、日本の景気はバブルまっただ中で、少なからず我ら学生もバイトなどを通してその恩恵を授かっていた時代であるが、

「たかだか、葉っぱをモチーフにしたデザインに1000万円かよ!」

などと、講義に提出する作品制作を、前の日の晩に缶酎ハイ飲みながらこしらえてた自分としては、この葉っぱのデザインに対して、かなりナメた思いを抱いた。「時給にしたら200万〜300万かぁ!?」などと・・・ハハハ

まぁ、15年後の今となっては、このクラスのコンペでは、準備期間に数ヶ月要すること、そのギャラが数百万〜数千万になることなど、普通に受け入れられるようになったけど。

でも、あの講義で「デザイナーは儲かる!」と思ってその道を目指したヤツは多いんじゃないかなぁ・・・ そう言う意味では良い講義だったかも。笑

ちなみに、このコンペを勝ち取ったのは、中村誠先生ではなくその当時ニューヨーク在住のレイ吉村氏(ダイエーやマツダのマーク、あとハートランドのボトルなど・・・)。

Monday, October 02, 2006

ggg_掛け軸展


ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)に行ってきた。国際グラフィック連盟(AGI)のメンバーによる「掛け軸展」を見に。

なんでも、今年はAGIの総会が18年ぶりに日本で開催されるため、ggg以外でも作品展が開催されているらしい。

で、その掛け軸なんだけど、AGIのメンバー360名のうち、75名の作品が展示されていた。
日本人は20名近くの作品が展示されていたが、浅葉克己、福田繁雄、永井一正などなど、いわゆる大御所といわれるグラフィックデザイナーばかり。

そんな作品ばかり眺めていると、むかし、大学の時に受講した中村誠(資生堂でポスターとか作ってた人)の授業を思い出してしまった。
そう言えば、中村先生、ご健在なのかしらん・・・

そうそう、知らなかったんだけど掛け軸って、日本独自の装飾文化なんだって。クルクル巻いてしまっておけるのが、他の国の絵画とかにはないんだって・・・ てっきり、中国がオリジナルかと思ってた。

ということなので、やはり日本人の作品は、掛け軸の性質(?)をよくわかってるだけあって、良くデザインされておりました。

Monday, June 26, 2006

第53回カンヌ国際広告フェスティバル

2006年のカンヌ国際広告フェスティバルは、英国で放映されたGUINNESSの「noitulovE」がフィルム部門(いわゆるCM)でグランプリだった。

全体的に、昨年の受賞作品(同部門でのグランプリはホンダ「GRRR」)と比べると、ややエンターテイメント性が強くなってきた感じがする。
世界中で巻き起こっているテロとか戦争とかやりきれない出来事を考えると、昨今の受賞傾向である「GRRR」のような、見ている人の気持ちを温かくしてくれるCMは潮流なんだろうと思うけど、やはり海外のCMが得意とする“ニヤリとする笑い”の方が個人的には好ましいかな。

さて、GUINNESSの「noitulovE」。見たことがない単語なんだけど、実はこのタイトル「Evolution」を逆さにした綴りになってるんだな。
実際にCMを見てもらうとわかると思うけど、パブで飲んでる男×3人が、逆進化(あえて“退化”とは言わず)して、人類の起源(?)であるムツゴロウになってしまい、彼らにとってはパブみたいなものである池の泥水(ギネス色)を飲んでるというストーリー。
最後のタグライン「GOOD THINGS COME TO THOSE WHO WAIT.(待ってりゃ、美味いもんにありつける)」が効いているね。

逆進化の途中途中で、氷に閉じこめられたり(氷河期)、ディープインパクト(馬じゃないよ映画だよ)並みに隕石が降ってきたり(恐竜が絶滅したと言われる時代)と、かなり笑えます。

24日のカンヌ国際広告賞が終わって、今年の世界3大広告賞(下記参照)も出そろったんだけど、カンヌのGUINNESSといい、One ShowのCarlton Draught(オーストラリアのBeer)といい、ビール好きには好感が持てる受賞でした。(世の中もっと平和になってくるとこういうCMが増えて良いんだけどねぇ・・・)

■世界三大広告賞
カンヌ国際広告賞(2006年6月18日〜24日):http://www.canneslions.com/
ONE SHOW(2006年5月10日、12日):http://www.oneclub.org/os/
CLIO賞(2006年5月13日〜16日):http://www.clioawards.com/